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がん患者さんの障害年金

がんも障害年金を請求することができます。

最近はだいぶ認知されてきましたが、それでもまだ、ご存じない患者さん、医療従事者も多くいらっしゃいます。

 

当事務所はがん患者さんに携わる活動が多いこともあり、がん患者さんやご家族からのご相談、ご依頼は他の事務所に比べて多いようですが、他の傷病に比べて、がんでの障害年金はハードルが高く感じます。

 

障害年金は、書類審査です。提出する診断書で、障害等級に該当するか審査されるのですが、障害等級に該当するかどうかは、定められた「障害認定基準」によって、判断されます。

 

例えば、がんの治療によって人工肛門を造設したとか、肺機能の低下によって検査数値の所見が認定基準を満たしているとか、明らかに診断書から障害等級に該当すると判断できればいいのですが、外部障害や検査数値異常以外の部分は、なかなか診断書の限られた記載内容からは読み取っていただけない情報もあります。

 

障害認定基準「悪性新生物による障害」の3級の状態には「身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの」と記載されています。障害年金のセミナーでよく「それがどれくらいなのか?」というご質問もお受けするのですが、正直その質問には私も明確な返答ができません。

がんの認定にあたっては、現在の症状だけでなく、これまでの治療経過や予後なども総合的に認定されるからです。

 

だからこそ、医師に作成していただく診断書はもちろん、ご自分で作成する病歴就労状況等申立書にも、症状の経緯、日常生活・療養生活のご様子、就労への支障など、しっかりと記載する必要がある考えます。

 

障害年金の診断書は部位により8種類あり、がんの場合多くは「その他の障害」という診断書を使用しますが、がんの症状・苦しい日常生活が、「その他の診断書」よりも「部位別の診断書」で正確に伝わるのであれば、違う診断書で請求することもできます。

 

例えば、脳腫瘍手術の後遺症で失語証の症状があれば「言語の診断書」、肺転移で肺機能の障害があれば、呼吸器の診断書などです。ケースによっては2枚の診断書を提出することもありますが、多くの診断書を出せばいいというわけではありません。それぞれの障害・症状がどの程度かを見極め、認定基準に照らし合わせて検討する必要があります。

  

障害年金の請求にとって重要な初診日については、がんと確定診断があった日でなく、がんの症状で初めて医療機関を受診した日になります。例えば、内臓のがんでも体の痛みで整形外科に最初にかかっていたら、整形外科に初診日になります。

 

がんの場合は比較的初診日を特定しやすい方が多く、当事務所でお受けしたケースでもがんでの請求で初診日に悩まされたケースは多くありません。

ただ障害年金の請求において、初診日の特定は重要であり、受給権の有無、受給する年金の等級、金額に大きく影響することもあります。

 

今は健康診断の日は原則初診日とされませんが、一定の条件の下、こちらが主張することで健康診断の日が初診日とされることもありますし、再発や転移などの場合、その期間等により個々で判断されることもありますので、悩まれたときは、ぜひ社労士に相談していただきたいと思います。

 

山岸社労士事務所

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